[2023/3/22追記] 続編も書いたのでどうぞ。
ひょんなことからNICT Beyond 5Gの委託研究に関わることになりました。自分はWi-Fiローミング専門なのですが、セルラーとWi-Fiの連携を図るという課題で、セルラー側を担当している共同研究者に感化されて(笑)、5Gでも遊んでみようかなという気になってきました。
可搬型Cityroam基地局を作るのに、上流回線がLTEでは物足りないので、5Gを試してみたいという気持ちもありました。
検証機として借りたのがこちら。
\ ババーン! /
ちゃんと技適取得済みですが、一般向けの販売チャネルはまだまだのようです。技適があるからといって、技適マークのないものを入手して国内で使うのは違法ですよ!ちゃんと技適対応の業者から入手しましょう。
手元に5G対応のSIMがなかったので、今回、ONEモバイルONEに5Gオプションを申し込んで、これで試してみました。サマリはだいたいこんな感じです。
- WindowsでMBIMモードで動く。
- SIMロックフリー (今回OCNモバイルONE (5G)とIIJモバイルサービス/タイプI (LTE)のドコモ回線のみで確認)
- LTEドングルの倍ぐらいの容積がある (仕方ない)。ファン付き。
- 定格5V 3AなのでUSB Type-C接続推奨。
- 5Gは、ドングルの特性というより、環境の影響を受けやすいので評価できていない。
どんな製品か
執筆時点で、5G対応かつ技適対応のドングルはまだこれ一択といった感じです。
詳しい製品紹介は本家でどうぞ。台湾の製品です。
サイズ感、動作音、電源など
LTE-USBドングルの倍ぐらいの大きさで、USBコネクタで支えるのが無理なサイズ。短いUSB Type-Cのケーブルが付属しています。中身は Qualcomm Snapdragon X55。
冷却ファンが入っています。LTEで動作中は回らないようですが、5Gを掴んでしばらくすると軽くミーと鳴き始めます。軽量ノートPCの冷却ファンはシャーと結構大きな音がするものが多いですが、それと比べればずっとかわいいもので、会議場で顰蹙を買うことはなさそうです。
一旦ファンが動き始めると、低負荷になっても止まることはないみたいです。
電源の定格が5V 3Aと、大喰らいですが、ちんちんに熱くなるといったことはなさそう (要追加調査)。電源容量には気を付けてと、メーカーより注意あり。
ドングルの動作モード
WindowsではMBIMモードで動きます。ハードウェア自体はRNDISにも対応しているらしいのですが、一般利用者が切り替える手段は提供されていません。macOSでの動作は今回確認していません。
MBIMモードで動作するということで、なんと嬉しいことに、無線LANのSIM認証が使えます!(・∀・) もちろんSIM認証に対応したキャリアとWPA2 Enterpriseのローミング対応基地局でないと使えませんが。
もしRNDIS対応ならMikroTik hAP acでも使えるのですが、残念ながらhAP acにTributo 5Gを挿しても反応無しでした_('、3」∠)_
5Gで使ってみる
ドコモのサービスエリアマップを眺めてみたら、自宅はエリアの縁にあり、微妙でした。室内では、ごくたまに5G表示になるものの、すぐにLTEに落ちてしまうので、ぎりぎりアウト_('、3」∠)_
おや、青葉山駅の周辺にポツンと5Gエリアが!(゚∀゚)
残念ながら入居している建物はエリア外で、ピクリとも動きませんでした。駐車場に出たら、おや、5G表示が…… (初体験)
深夜ですが、Pixel 6では190Mbps出ていました。
Tributo 5Gは少し感度が低いのか、アンテナピクトが1, 2本しか立たない状態でした。
とりあえず、いま5Gで大人気のSpeedtestで測ってみましょう。
まぁ、LTEより速いのですが、80~120Mbps台と安定しません。エリア外なので仕方ないです
気を取り直して、エリアど真ん中に移動してみます。あれかな? (基地局ソムリエさん、よろしく)
この場所ではアンテナピクトが3本立ちましたが、速度はまだ120Mbps台。お前の本気はこんなものではないはずだ。
どうやら広場方向を向いているようなので、そちらに移動してみます。
ぉ……(・∀・)
物足りない感じの結果を目の当たりにした顔をしながら、一旦テストは終了です。
これ、おそらくドングルではなくて、無線環境か回線の方が頭打ちになっている気がします (要追加調査)。
LTEよりは確実に速いので、5Gエリアのど真ん中に住んでいる(?)人で、Windowsに5Gを追加したい人には、良い製品でしょう。半導体不足によりLTE-USBドングルが手に入りにくくなっているので、その代わりにもなりそうです。
自分の委託研究では、Local 5Gの基地局も建てる予定です。そちらの環境なら、ずっと詳しいデータが取得できると思います。
おしまい
[2023/3/3追記] Compalの中の方から、Amazonで扱い始めたという情報を得ました。販売元が Palcom International Corporation (Compalの製品販売子会社) なことを確認してください。技適シールも貼られていると聞いています (私自身は未確認)。
[2023/3/20追記] 試しにAmazonで買ってみたら、ちゃんと技適シールが貼られたものが届きました (ただし自己責任でどうぞ)。なお、日本向けは専用ラインで製造しているとかで、台湾で買っても日本の技適シールはないそうです。