前回の宿題になっていた、Wi-Fi HaLow で Passpoint を使おうという話です。
基本は WPA3 Enterprise なので、まずは前回の記事に従って、設定を済ませておきます。
今回、Morse Micro HaLowLink 2 (firmware 2.11.13) を使いました。
基地局(AP)側のPasspoint有効化
HaLowLink 2 に ssh でログインして、hostapd_s1g を strings コマンドで覗いてみると、hs20 関係のラベルが見えます。つまり、hostapd は Passpoint に対応しているということでしょう。
幸いなことに、UCI (Unified Configuration Interface) も Passpoint に対応したものが入っていて、/etc/config/wireless の config wifi-iface セクションに Passpoint 関係の設定を追加してやるだけで、 /lib/netifd/hostapd.sh がうまいこと設定を hostapd_s1g に引き渡してくれます。
例えば次のような行を追加すると、OpenRoaming の RCOI を吹くようになります。各パラメータの値は自分のサイトに合わせる必要があります。
option hs20 '1'
option hs20_oper_friendly_name 'eng:HaLow-Passpoint'
option iw_enabled '1'
option iw_interworking '1'
option iw_access_network_type '3'
option iw_internet '1'
option iw_disable_dgaf '1'
option iw_asra '0'
option iw_esr '0'
option iw_uesa '0'
option iw_osen '0'
option iw_venue_group '2'
option iw_venue_type '8'
option iw_hessid '<HaLow用インタフェース (wlan0など) のMACアドレス>'
list iw_roaming_consortium '5a03ba0000'
list iw_venue_name 'eng:PasspointLab'
list iw_venue_url '1:https://example.com/'
option iw_network_auth_type '00'
option iw_ipaddr_type_availability '0c'
list iw_domain_name 'example.com'
おや? hs20_operating_class は?
とりあえず無くても動くようです (ぇ
IEEE 802.11 の仕様を見ても、Sub-1G で Operator Class をどのように扱うべきか、よく分かりませんでした。Morse Micro の実装では、S1G は 5GHz 帯にマッピングした値を使っているとのことでした。
クライアント(STA)側のPasspoint有効化
執筆時点 (2026/9/23) のファームウェアのリリースは OpenWrt 23.05.6 Morse-2.11.13 でした。
残念ながら、クライアント側の設定を wpa_supplicant_s1g に渡す仕組みが、まだ UCI に組み込まれていません。本家の OpenWrt 25.12 でさえ非対応です。
とりあえず wpa_supplicant_s1g は Passpoint に対応していそうなので、パッチを作ってみました。
OpenWrt なら /lib/netifd/hostapd.sh を書き換えるだけで済むのですが、Morse Micro 専用のスクリプト /lib/netifd/morse/morse/morse_overrides.sh の方もいじらないといけません。次のようにして、二つのスクリプトにパッチを適用します。(OpenWrt 版ではなくLinux などの patch コマンドを使う方がよいみたいです)
$ patch -p0 hostapd.sh < hostapd.sh.patch
$ patch -p0 morse_overrides.sh < morse_overrides.sh.patch
/etc/config/wireless の config wifi-iface セクションに、Passpoint 関係の行を追加します。OpenRoaming ならば、以下のとおりです。
option iw_enabled '1'
option iw_rcois '5a03ba0000'
option ieee80211w '2'
Wi-Fi HaLow では WPA2 ではなく WPA3 (PMF必須) を使うことが強く推奨されているので、11w (PMF) を Required (=2) に設定しておくのがよいでしょう。
あとは、wifi コマンドで設定を反映するだけです。wpa_supplicant_s1g に渡される設定ファイルが /tmp/run/wpa_supplicant-wlan0.conf に書き出されているはずです。
おわりに
いくら Passpoint / OpenRoaming に対応した Wi-Fi HaLow 基地局を立てても、クライアントデバイスが非対応では意味がありません。計算資源が著しく限られたものは仕方ないとしても、様々な IoT デバイスが Passpoint に対応してくれることを願っています。
願うというか、Wi-Fi HaLow では Passpoint 対応を必須にするぐらいのことは、やってもらいたいところです。Morse Micro さんにも頑張ってほしい。
おまけは、Sydney にある Morse Micro 本社が入っているビルの写真です。ちょっとだけお邪魔してきました (・∀・)ノ (聖地巡礼?)


おしまい












