いまさらですが、MeLE Quieter3CというファンレスなミニPCを紹介します。
3Qという似た型番のモデルがあるのですが、端子に違いがあります。私はUSB-Cの機能が充実している3Cを選びました。
よかった所
- 小さくてファンレス、そして鞄にも入れやすい薄型。
以前紹介した GMKtec NucBox7 と同じN5105搭載ですが、あちらはファン付きで少し音がするのと、厚みがあって手提げに入れにくいのが難点でした。 - M.2 2280 NVMeのSSDが増設できる。最初からついてくるストレージはオンボードのeMMCなので、そちらを生かしたままでも殺しても、大容量のSSDを搭載できます。ただし熱には注意。
- Wi-Fi 6対応
Linuxを載せて基地局として動かしたかったので、重要でした。(残念ながらhostapdで11axがまだ使えなかったのですが) - x86_64アーキテクチャ
他のアーキテクチャと比べて、色々なことがあまり苦労せずに実現できます。普通にUbuntu ServerやopenSUSE Leap 15.5 / Tumbleweedも入りました。 - スタイリッシュ (゚∀゚)
ちょっと角が痛い……
微妙だったところ
- N100が出て結構経っているので、N5105は少し見劣りがする。まぁ、そこそこ速いです。
- ACアダプタを選ぶ。USB-Cから給電するのですが、容量が足りているのに起動できないアダプタがちらほらありました。
[2024/2/29追記] 付属のアダプタは、ネゴシエーション無しの12V固定出力という、凶悪仕様でした。他の機器に接続すると壊す恐れがあります。 - M.2 NVMeモジュールとケースの間の隙間が大き目で、放熱が難しい。薄い熱伝導テープでは届かなかった。
- RJ45端子がGbE 1個しかない。2.5GbEは無理としても、もう一つあったら、さらに遊べたのに。(USBで増設しよう)
- メモリ8GBはWindowsでは少しつらたん。ストレージは128GBと256GBのモデルがあるので要注意。
基地局として使ってみた
これが主目的で買ってみたのです…
hostapdを使って、内蔵の無線LANアダプタをAPモードで動かしてみます。ドライバの表示によると内蔵PHYはRTL8852BEのようです。(Intelのモデルが存在するという情報もあり、謎です)
openSUSE Leap 15.5の5.x系カーネルでは、hostapdが刺さってしまう問題があります。仕方がないのでTumbleweedの6.x系カーネルを試したところ、あっさりと動きました。rtw89_8852bドライバで認識しました。
hostapdを使った基地局の作り方ですが、以前の記事と同じ設定です。
8852BEは、(Intel AXと違って) 5GHzでもちゃんと動くし、VHT80の設定もできました。さらにPasspointもばっちり!
11axの設定は、hostapdかドライバが対応していないらしく、成功しませんでした。
本体の電源ボタンを押すと、Linuxはきちんと、お行儀よく、shutdownしてくれました。ヘッドレスでも使いやすいモバイルAPになりましたヽ(・∀・)ノ
過度な期待はしないでください
さっそくPasspoint対応の基地局と機内Wi-Fiを模した環境を詰め込んで、Wireless Global Congress EMEAのWGセッションでデモをしてきました。というか、これが主目的でした。
ホテルでの予行演習はばっちり。いざ会場でAPのデモをしようと思ったら、5GHz帯では会場のAPに負けてさっぱりだったので、2.4GHz帯に逃げてきました。それでも、電波ゆんゆんな環境では、端末がなかなかつながらないという現象が見られました。他の強いAP群に時空間を取られていたのかもしれません。どうせビームフォーミングなんて効かないし、専用APに負けても仕方ないのでしょう。
というわけで、
「私はリハーサルで動いて客先で動かない実績を増やしました」
の札を首から下げることになりました。
おしまい