アイ・オー・データ機器のWi-Fi 6無線LAN基地局、WHG-DAX1800Aです。
私の記憶が確かならば……、Passpoint対応国産機第一号は「ポジモ」で、二番手が「アライドテレシスAT-TQm5403」です。国内メーカーから発売された、おそらく初のWi-Fi 6モデルが、このWHG-DAX1800Aです。
海外メーカーから続々とPasspoint対応機が登場するなかで、国内で有名どころの基地局メーカーからは、さっぱり出てきませんでした。執筆時点でもまだ動きのないメーカーが多数ありますが……
OpenRoamingが2020年に登場して、Wi-Fi 6かつPasspoint対応のモデルが必要になってきたところで、国内メーカーは全滅でした!
一方で、海外メーカー製はまだ高価なものが多くて、小規模な店舗などに転がす用の基地局としては導入が難しいものでした。そんな中で、NICT Beyond 5Gの研究成果を生かして、アイ・オー・データ機器さんに作っていただいたのが、このWHG-DAX1800Aというモデルです。(手前味噌)
3万円台で買えて、MikroTikみたいに設定がマニアックな上に販路が難しいようなこともない、画期的な製品です。
エンタープライズ向けのWi-Fi 6機なのに安い
WPA2/WPA3 Enterpriseにきちんと対応した基地局で、かつ、Wi-Fi 6に対応したモデルとしては、競争力のある価格帯です。
サイズ感
16cm角ぐらいで、可愛い~というほどではありませんが、他のエンタープライズ向けWi-Fi 6機よりは小柄な感じです。
Passpoint対応
とにかく欲しかったのがこれ、Passpointの機能です。
今でこそEdgecoreもPasspointに対応していますが、当時は台湾メーカーもさっぱりで、中国メーカーは輪をかけてガン無視という感じでした。
おっと、国内メーカー製といっても、ほとんどの基地局メーカーがそうであるように、このモデルも台湾OEMです。SEANOに外観そっくりのモデルがあり、EnGeniusブランドでも出ています。
Passpointの機能や設定画面については、色々と意見を反映していただいて、使いやすいものになっていると思います。特に、
- バンドごとにPasspointの設定を入れなくても済むこと
- 一つのPasspoint設定を複数バンドに一括適用できて、バンドステアリングが効くこと
- パラメータ値はできるだけ内部でデフォルト値を生成して、利用者が入力しなくても済むこと
について、しっかり対応してもらいました。
素のOpenWrtでは、バンドごとにPasspointの設定を入れる必要があります。その感覚のままで設定GUIを作ると、失敗します。HESSIDって何?Operating ClassはIEEEの有償ドキュメントを見ないと分からないよね?……みたいな。
めがっさらくちん!
ただし、Passpointのプロファイルは一組しか設定できないようです (ファームウェア2.0.1で確認)。SSIDごとに別のプロファイルを使うようなことはできません。
中身と機能
他の大多数のメーカーと同様に、どうせOpenWrtベースなのだろうと思って、中身を調べようとしたのですが…… SSHが塞がれています_('、3」∠)_
(むしろ開けっぴろげのEdgecoreの方が特殊か)
裏技()を使うとこのとおり。
CPUは Qualcomm IPQ6018 @ 1.2GHz のようです。
このCPUならVPNも結構速いだろうと思ったのですが、strongswan も openvpn も wireguard も関連のファイルが見当たりません。残念!
製品の仕様として、リモート管理もVPN機能もないので、マネージドWi-Fiとして店に転がす用には単体で使うことができません。使うとしたら、小型・高速なVPN箱を抱かせて、基地局側のUTPケーブルにいたずらされないように物理的に封をして転がすことになると思います。
例えば、WireGuardで350Mbpsぐらい出るGL.iNet GL-MT2500あたりが使いやすそうです。(合体用の箱でも作ります?)
おしまい