hgot07 Hotspot Blog

主に無線LANや認証連携などの技術についてまとめるブログです。ネコは見る専。

Hotspot 2.0 aka Passpoint, それとNGH(次世代ホットスポット)

NGH無ぇ

Passpoint無ぇ

Convergenceは何者だ?

 

実を言うとPasspoint/NGHサービスはちゃんと日本にもあります。大手通信事業者がサービスしていないだけで。このエントリでは、具体的な技術の解説よりも、できるだけ新しく実践重視の情報源への誘導を目指します。

手前味噌ですが、S-MAXさんの記事がよくまとまっていますので、「Passpoint (Hotspot 2.0)って何?」という方はぜひお目通しください。

s-max.jpざっくり言ってしまうと、Hotspot 2.0とPasspointは、後者がWi-Fi Allianceの認定を受けた名称というだけで、仕様上は同じものです。実際に、Hotspot 2.0 Specificationの文書の冒頭には"the Wi-Fi Alliance certification program for Hotspot 2.0"と書かれています。

参考: Specifications | Wi-Fi Alliance

"Wi-Fi"と同じですね。本来、認定を受けていない機器やサービスでWi-Fiを名乗ってはいけないはずが、最近は無線LAN (Wireless LAN)の代名詞として使われるようになっているので、Passpointもそうなりそうです。(量販店でWi-Fiの記述のない無線LANルータ製品があることに気付いてしまった人は鋭い)

さて、Passpointというキーワードに出会ったところで、ウェブ検索してみると、執筆時点(2019/11/24)なら Developers.IO やINTERNET Watchの記事が上位に表示されるようです。頑張って調べて記事にした意気込みは評価できますが、規格の背景やら風呂敷やらで、残念ながら実践にはあまり役に立たないでしょう。もしPasspoint関係の日本語の記事が2014年以降にパタッと途切れていることに気付いたのなら、だいぶ調べた方でしょうね。国内で(表立って)手掛けている会社が限られる中、BIGLOBEさんはPasspoint/NGHで頑張っていた所の一つです。2017年1月30日のJAIPAセミナーにおける川関さんの講演「「NGH」~Wi-Fi認証の新世界標準NGHについて~ 普及の必要性、普及させるには」は、部屋が満杯になる大盛況ぶりでした。この講演で久しぶりにPasspoint/NGHの名前を見たという人が、結構いらしたのではないでしょうか。(なんとその翌日にBIGLOBEKDDIグループ会社となり……)

国内では妙なブランクが生じた感じのあるPasspoint/NGHですが、海外ではもちろん実証実験もビジネス展開も進められていました。NGHはWi-Fi AllianceとWireless Broadband Alliance (WBA)が共同で開発・推進しているものです。2014年には、サンフランシスコやサンノゼの公衆無線LANで実証実験が行われました。この頃から、北米やルーマニアの携帯電話会社がPasspointを導入してきています。デジタルサイネージ付きの高速公衆無線LANキオスクとしてニューヨークに導入されたLinkNYCでは、2016年にセキュア接続オプションとしてPasspointが導入されました。同様のキオスクを使ったUKのInLinkUKでも、Passpointが利用できます (ただしLinkNYCもInLinkUKもNGHのローミングには未対応)。Boingoは北米やブラジル、ポルトガルの空港でPasspointサービスを開始しました。WBAでは、世界各地の都市の公衆無線LANをNGH対応にして、ローミングで結ぼうという計画があり、2016年にその最初のトライアルである City Wi-Fi Roaming が立ち上がりました。日本のキャリア1社はそこにSIM認証を提供していたようですが、無線LANサービスを提供する事業者の姿はありませんでした。

www.link.nyc

www.inlinkuk.com

worldwifiday.com

2016年頃の国内の無線LAN事情というと、キャリアWi-Fiには802.1x認証が提供されているもののまだ普及率的に微妙で、公衆無線LANに至ってはほぼオープンWi-Fiのみでセキュリティ皆無といった状況だったと思います。公衆無線LANが危ない、国内の対策が遅れていると、危機感が募ってきたところで、有志が集まって2016年5月に「公衆Wi-Fiを健全にするBoF」が開催されました。802.1xはいいけど、どうやらHotspot 2.0というのもあるらしいぞ、なんだそれ?というわけで、私が同年10月に世界のWi-Fi関連のイベントを視察に行ってみたところ、これはマズい、日本勢が全然追い付いていない……。ところが、先のBoFは、集まってF2Fで話をしたらなんとなく安心しちゃったみたいで(?)、続きがない。それじゃこちらが主導でやりますね、ということで2017年1月に「フリーWi-Fiのセキュア化と大規模ローミング実現のためのBoF」を開催、同時に実践重視の「セキュア公衆無線LANローミング研究会 (NGHSIG)」をでっち上げて立ち上げて、今に至ります。

nghsig.jp

現在、国内では、NGHSIG参加メンバーでもある京都のLocal24様、長野のライフシード様がPasspoint/NGHに対応したフリーWi-Fiサービスを構築・提供しています。他の参加メンバーが大学キャンパスやイベント会場などで実証実験・デモとしてサービス提供することもあります。NGHSIGは、現在国内で唯一のNGH hubオペレータ(のはず)です。NGHSIGでは、通信事業者、ベンダから、政府機関・自治体、研究者まで、Passpoint/NGHを実践したい人を幅広く受け入れています。うちもPasspoint対応して国際ローミングに乗りたいぞという皆さま、よろしくお願いします。

cityroam.jp