hgot07 Hotspot Blog

主に無線LANや認証連携などの技術についてまとめるブログです。ネコは見る専。

Passpointはどこまで進んだのか (2021)

以前書いた記事↓から、なんと1年半も経っていました。今回はこの続編のようなものです。

hgot07.hatenablog.com

結論から言うと、ほとんど変わっていません!w

とりあえず、必要な定義から。

  • PasspointとHotspot 2.0は同じもの (少なくとも仕様上はな!)
    基地局メーカーではHotspot 2.0の表記が多いのですが、名前の分裂が問題となり、Wi-Fi AllianceとWBAではPasspointの方を積極的に使うこととされています。
  • 次世代ホットスポット / Next Generation Hotspot (NGH)の名称はフェードアウト
    マーケティング的な風呂敷として便利な言葉でしたが、OpenRoamingのような具体的なシステムが登場してきたので、WBAでは積極的に使わない方針のようです。

 

Passpoint Release 3からどうなった?

前回執筆時の2020年1月時点で、Wi-Fi CERTIFIED™ Passpointの仕様はRelease 3が出ていましたが、その後の改訂はありません。

ざっくり言うと、SSIDに依らずに自動接続できる仕組みを規定したRel. 1が登場し、Online Sign-Up (OSU)などを追加したRel. 2が出て、さらにVenue URLやOperator Icon Metadataなどの機能を追加したRel. 3になりました。

なぜ最近改訂がなかったのかというと、「すぐに必要になる新たな機能が無かったから」だろうと思います。いや、課題は色々と残っているのですが、少なくともどう実装すべきかという高レベルの話には至っていません。

そもそもPasspointは規格(仕様)なので、ある程度固まってきたら、そう頻繁に変えるようなものではないですよね。つまり、Passpointという規格に従って、エンドユーザ向けのサービスの開発が進んできたら、自然とその名称が後ろに隠れていくものでしょう。802.1Xなんて聞いたことがなくてもeduroamやd Wi-Fiが使えるみたいに。

 

Passpoint Release 2, 3対応の基地局がない!?

一番いいのを頼む

どうせ買うなら最新のものを……、というわけでPasspoint Rel.3対応の基地局を探そうとすると、ない!? そもそもPasspoint対応すら仕様表に書かれていなかったりします。

一応、対応製品はWi-Fi AllianceのProduct Finderで探すこともできます。(登録が遅いし、掲載されていても非対応な機種とかあって、信頼性に難ありなのですが……)

www.wi-fi.org

 

それでは、本当にRel. 2やRel. 3に対応した製品がないのかというと、そうでもなくて、部分的に機能が少しずつ追加されている感じです。例えば、UniFiならこんな設定があり、OSUに対応しているっぽいです。ぽい。

OSU of UniFi

OSU of UniFi

どうもRel. 2以降の認定が進んでいないようですね。Rel. 2のとある機能の敷居が高くて嫌われている疑惑が……、しらんけどw

Wi-Fi Allianceには、仕様策定の他に、認定プログラムを実施する機関の顔がありますので、そこのビジネスが滞ると……(ウワナニヲスル

 

Passpoint Release 3は来ないのか

なんとも雲行きの悪い話を書きましたが、悲観することはないです。

OpenRoamingが本格的に立ち上がったことで、ローミングサービスの細かなUI/UXも議論されるようになってきました。そこでよく話題に上るようになったのが、Venue URLやOperator Iconです。Rel. 3の認定プログラムを通さなくても、基地局ベンダがこれらの機能を追加してくる可能性は高いです。

以前のエントリから引用します。

"Operator Icon Metadata"や"Venue URL"は、例えばフリーWi-Fiにおいて、サービスを提供している事業者やスポンサーはどこかといった情報を、利用者に伝えるのに役立つでしょう。1X認証は、自動接続されて、標準ではキャプティブポータルがないため、従来はスポンサーの不満がありました。

 

※ 余談ですが、お宅の無線LANルータ、Wi-Fi CERTIFIED™のロゴが付いていますか?最近のWi-Fi 6対応機なら付いているでしょうが、少し前の11acのモデルでは、付いていない製品もありました。なぜでしょうね~

 

Passpointの今後

先に書いた通り、仕様としてのPasspointは、次第に利用者の目には見えない、裏方に回っていくものと考えられます。ぇ、今までも知られていなかったって?あっ、はい_('、3」∠)_

なので、サービスのプロモーションとしても、Passpointの名前はあまり前面に出て来なくなるのではないかと思います。その代わりに、OpenRoamingのように、具体的なサービスの名称の方が、一般的になってくると予想しています。

 

Passpointで遊んでみたい?

設定方法がまとまった資料は、こちら↓がお奨めです (というか現状これしかない)。

booth.pm

Passpoint対応のアクセスポイントの中でも、比較的安価で設定もいじりやすく、安定しているのはAruba AP-200シリーズでしょう (注: Instant OnはPasspoint非対応, 書籍のガイドにはPasspoint記載なし)。しかし、AP-200シリーズは終売になってしまいました。執筆時点で、AP-203Rはまだ若干の流通があるようです。ただし、AP-200シリーズは今となっては少しトロいので、あまりお奨めではないです。

2021年の電子部品不足から、Aruba APは軒並み国内在庫がなくなっています。

安い基地局をお探しなら、こちらもどうぞ。

hgot07.hatenablog.com

面倒がなくて、一発で安定して動くという点では、Merakiが楽ちんですよ。安くはないけど。(リクエスト出さないとHotspot 2.0が有効にならないのは、今でもそう?)

 

おわり