ふらりと入ったカフェのフリーWi-Fiが不調でも「こんなものか」で諦めがつくのでしょうが、ホテルや空港、学校などの無線LANシステムが満足に使えないことのストレスは大したもの。ましてや、有償サービスにサインアップしてロクに使い物にならないと知った時の怒りといったら……。
当エントリでは、かつてTwitterに書いてプチバズったものを中心に、記録のためにまとめてみます。世にはびこるダメな無線LANシステムは、一時的な不調というよりも、とにかく「基本設計が悪い」というのに尽きます。
公衆無線LANありがちトラブル https://twitter.com/hgot07/status/770814197374398464
- 100人部屋だからアドレス120もあれば十分だろう→端末複数持ちが多くて死亡
- DHCPのリース時間は適当に2時間でいいかな→人々の入れ替わりに追いつけなくて死亡
- 利用者数×アプリ数の数倍ぐらいのNAPTでいいか→多数ポート使うアプリで死亡
学校無線LANありがちトラブル https://twitter.com/hgot07/status/851026012280205312
- 高速APだから動画も大丈夫→上流が100Mbps
- 仕様書に100台とあるから余裕→盛られていました/2.4GHzと5GHzの合計でした
- ワイヤレスヘッドホン禁止!→タブレットのKBがBT接続
- ?→○○君のパソコンが基地局になっています!
補足: BluetoothやUSB3.xは2.4GHz帯の無線LANに干渉します。教室で多数の端末を使用する場合、BT接続の機器には要注意です。
キャンパスWi-Fiありがち https://twitter.com/hgot07/status/770816669237190656
- 教室ごとにAP付けるのもったいないから廊下に並べよう→教室内でつながりにくい/ドア開放必至
- トラブル厄介だからhttp/https以外塞いじゃえ→別ポート使うアプリが全滅、逆にトラブル&クレーム増
- 100Mbpsでいいよね→遅くてクレーム増
なぜ基地局を廊下に設置するのがダメなのか
室内に届かないというより、AP間で"聞こえ"過ぎるのが問題で、電波の自動調整機能と組み合わせると出力が絞られ過ぎてしまう。
2.4GHz帯でチャネルボンディングは迷惑千万
2.4GHz帯ではチャネル間の干渉が大きく、重なりなく取れるのは3チャネルまでです。ここでHT40のようなチャネルボンディング設定を有効にすると、ほぼ全域に干渉することになります。家庭向けの無線ルータでは、高速性をうたい文句に標準設定がHT40になっている(酷い)製品があります。SOHO向けにも気を付けるべき製品があります。とにかく、広い土地に孤立した建物でもない限り、2.4GHz帯でチャネルボンディングは無効にしましょう。
よく設計された最近の公衆無線LANでは、HT20の設定で、1, 6, 11chだけが使われています。Wi-Fiアナライザのアプリなどで観測してみてください。もしびろーんと横に広がったHT40設定の基地局を見つけたら、そいつが一帯の無線LANサービスを潰している可能性があります。
ちょっと紹介
会議場などでイベント無線LANを構築する際に、大変参考になる本があるので紹介しておきます。
[追記: 2020/1/6]
以上、無線LANシステムを構築する際にチェックしてみてください。
[2020/10/4追記] こちらの本もお奨めです↓