技適を取ったばかりのホカホカの無線LAN基地局を手に入れることができたので、試してみました。MikroTik mANTBox 52 15sというものです。
\ばばーん!/ (カマボコか)
ぇ、なにこれ……、ただの屋外アンテナ?
実は中にRouterBoardが入っています。要するにhAP acみたいに使うこと"も"できます!
MikroTikさんの製品は、色々なものにRouterBoardが搭載されていて、すごいですよね。こんなちっちゃいの (mAP lite) にも入っているぐらいで、これでも遅くてたまらないみたいなことはなく、十分な性能があります。
RouterBoard搭載機は、どれもほとんど同じ使用感でRouterOSが使えるので、エッジ部分でちょっと凝ったネットワーク構成も簡単に実現できたりします。
「RouterOSはなんでもできるなぁ」
「なんでもはできないわよ。できることだけ」
今回試してみたのは、普通の(?)無線LAN基地局(AP)の使い方と同様、利用者端末を接続する構成です。mANTBoxは、対向で使うとkmオーダーの飛距離が出るようですが、その構成はもう一台手に入れないとむり。
ざっくりとした結論としては、見通しのよいところならば数百m先からでも接続できます。見通しが重要。
入手方法については、ライフシードさんに聞いてみてください。
mANTBox 52 15sの概要
詳細な情報は、MikroTikのサイトにある仕様を見ればよいです (あたりまへ)。
おそらく最も知りたいであろう情報といえば、そう、技適ですね?(・∀・)
執筆時点で、以下のmANTBoxが技適取得できているそうです。
同じmANTBoxシリーズですが、用途がちょっと違うので気を付けましょう。19sは5GHz帯のみで、CPUは QCA9557 (MIPSBE)です。52 15sの方は、2.4/5GHz dual-bandで、CPUは IPQ-4019 (ARM 32bit)、普通のAPとしても使えます。あと、IPsecにしか効きませんが、hEX Sみたいにハードウェアアクセラレータも入っています。
mANTBox 52 15sのコネクタ部分はこんな感じ。ほら、RouterBoardが入っているっぽいでしょ?
ether1にあたる上流用のイーサネットポート(RJ45)は、802.3af/at の Power over Ethernet (PoE)に対応しています。hAP acはPassive PoEしか受け付けてくれなかったのですが、こちらはちゃんと802.3afで給電できるので便利です。ACアダプタ用のコネクタもあります。それに、PoEインジェクタが付属してきます。
SFP (+ではない)とUSBの端子もあります。下流のネットワークを引き出したければ、SFPモジュールを挿せばOK。ごついアース端子がありますが、屋外で使うときは必ずしっかりしたアースをとりましょう。
カバーのフチに丸い切れ込みがあり、引き出すケーブルに応じて、必要なだけ切り取って使います。
カバーにパッキンなどはないので、バシャバシャと水がかかるようなところで使うのは不安です。下から吹き込まなければ大丈夫?
RouterOS
RouterOSそのものなので、使い方も同じです。今回、家庭用無線LANルータと同様のAPとして使うので、Home AP Dualで初期化して、あとはいつも通りに設定すればOK。前エントリと同様に設定しました。
hgot07.hatenablog.comちなみに、WireGuardを試したかったので、いきなりRouterOS v7.1rc3まで上げてしまいました。いきなりといっても、v7を導入する際に文鎮化することがあるので、段階を追ってアップグレードしていく方が安全でしょう。
- Stableの最新版に上げる。
- /system/routerboard/upgrade を実行して、ファームウェアを最新版にする。
- v7.1rc3などに上げる。
OpenVPNクライアントやWireGuardも試しましたが、hAP acとまったく同じように使えました。ARMのCPUが効率的なのか、OpenVPN (TCP)はhAP ac (MIPSBE) よりも速いようです。
Hotspot 2.0の機能も動作確認して、Passpoint / OpenRoamingまできちんと動きます。(というか、これが目的で導入したので、動かないと困る)
気になったところでは、wlan1の設定で12, 13chの選択肢がグレーアウトされていた点。まさかUS版の周波数ロックか!とビビりましたが、選択すればきちんとそのチャネルで電波が出ました。rc3のせいかな?
設置
屋外に向けて電波を飛ばしたいものの、ベランダなどに出すとケーブルの引き回しが面倒だし、そもそも取り付けるのに良さそうなポールがあるわけでもない。そこで、屋内の窓際に設置することにしました。
屋内にもポールなんてないので、手頃なスタンドが必要になります。何かよさげなものはないだろうかと、ニトリへ……。
当初はフロア型の電気スタンドでも使おうと考えていたのですが、細いものばかりで、マウントが固定できそうにありません。mANTBoxには、マウントと金属バンドのセット (quickMOUNT pro) が付属していますが、これはそれなりに太めのポールでないと、締め付けることができません。
他に何か使えそうなものがないかと、店内をうろうろしていたら、良さそうなものを発見!しかも安い (3千円ぐらい)。
Wi-Fiのスタンドだッ!
# 枝は付けなくてもよかったんじゃないの?🤔
気になる飛距離は……
あまり電波ゆんゆんではない住宅街で、道路に沿って、見下ろすような形でAPを設置してみたところ、数Mbpsまで落ちてしまうものの、300mちょっと先からも接続できました。ビームフォーミングが頑張っているのか、WiFi Analyzerで見ると徐々に電波強度が上がってくるように見えます。
ただし、見通しがよく、障害物がないことが重要。
遠距離から接続しているときに、建物などの物陰に入ってしまうと、途端に電波が弱くなります。その昔、GoNetやWavionからビームフォーミングをうたった基地局が出てきた頃にも試したことがあるのですが、とにかく見通しが重要なのはあいかわらずですね。
大学キャンパスでは、飛距離が短くなるようです。あちこちにあるeduroamや研究室のAPから干渉を受けるためでしょう。詳しい調査は別途。
こういうのを試していると、部屋の隅々まで入ってくるセルラーの電波はすごいんだなと_(:3」∠)_
NG集
ヨシ!……と思ったのですが、これではダメでした。距離的にはプレハブの奥の建物にも余裕で届くはずなのに……
さて、何が問題だったのでしょうか😇
[2021/9/17追記] ADOP SFP-1GE-T-ADはmANTBox 52 15sで無事に使えているようです。しかし、SFPトランシーバは相性問題が多いらしく、確実にお奨めできるかどうかは不明です。
おわり