hgot07 Hotspot Blog

主に無線LANや認証連携などの技術についてまとめるブログです。ネコは見る専。

ルノアールのeduroam終了後、我々はどこに行けばよいのか

関東地域のカフェ等でeduroamが使えるようになった経緯を、昨年末に書きました。大学関係者に大好評のサービスだったのですが、残念なことに2020年3月をもって終了する旨、通信事業者より連絡がありました。サービス開始からちょうど10年目になります。

hgot07.hatenablog.comtwitterでは、サービス終了を嘆く声がちらほら見られました。ところで、終了アナウンスの後に、これまでのサービス提供に感謝するとか、もっと続けてほしいとか、店舗に声をかけた方はいらっしゃるのでしょうか?通常、店舗等のフリーWi-Fiは、ロケーションオーナー(英語ではvenue ownerと呼びます)がその気にならないと導入されないものですよ。

大学でもそうなのですが、
「なんでウチには導入されないんだ#」
「実は誰も要望を上げていなかったのである!」みたいな。

 要望は積極的に挙げていきましょう。

どこへ行けば市街地でeduroamが使えるのか

Cityroam

Cityroam

先の記事に書いたように、日本は世界に先駆けて、比較的規模の大きい市街地eduroamサービスを実現できました。しかし、今回のサービス終了を受けて、大幅縮小ということになります (-130AP)。他の事業者による市街地eduroamサービスも既に幾つかあるのですが、まだあまり規模が大きくありません。とりあえず、私どもが通信事業者と協働で展開しているCityroamと呼ぶサービスが、全国規模では現在唯一のものです。Cityroamのサービスエリアは、以下のウェブサイトの基地局マップに示されています。ピンの立っているところに行けば、eduroamが利用できます。同じ基地局がeduroam JPの提供する基地局マップにも含まれているはずなので、そちらを見る手もあります。

さて、このCityroamとは一体何もの?

Cityroamは、次世代ホットスポット(NGH)を展開するために「セキュア公衆無線LANローミング研究会 (NGHSIG)」が運用している、セキュアな公衆無線LANローミング基盤です。詳しくはリンク先のサイトで見ていただくとして、ざっくり説明すると、eduroamのように安全・自動接続可能な無線LANを、誰でも使えるようにしたものです。技術的には、キャリアWi-Fi(セキュアな方)でもお馴染みのIEEE 802.1xによる認証方式(通称1X認証)が採用されています。

Cityroamの基地局では、原則としてeduroamのSSIDも併設することにしているため、eduroamの利用者は自機関の設定そのままで、市街地でもeduroamが利用できます。ルノアールで使うのと一緒です。

市街地のeduroamサービスには、eduroam参加大学が個別に展開しているものも若干あります。これらも、eduroam JPが提供する基地局マップに掲載されているので、探してみるとよいでしょう。
(eduroam参加機関は、基地局マップデータを提出することが義務となっています。サボらないで、きちんと作成してeduroam JP事務局に送ってください)

他大学の図書館や厚生施設を使おう

eduroam参加機関の大学・研究所にある図書館や厚生施設など、部外者でも入れるところがありますので、積極的に利用してはいかがでしょうか。

地方都市では大学キャンパスまで赴くのが大変なことが多いですが、東京の中心部ならば、最寄りの大学もそう遠くないでしょう。

うまくいけば、どこかの大学キャンパスに隣接する店舗からも、eduroamの電波を拾えるかもしれません。

ここをeduroamサイトとする

「そうは言っても使いたいところにeduroamが無いんじゃ~」という場合は、なんとか頑張って誰かに導入してもらうしかありません。いや、自腹で入れてもらってもいいですよ、社会貢献として!

いずれの場合でも、基地局を設置する場所のロケーションオーナーさんをその気にさせないといけません。店舗や施設などから「eduroamを導入したい」と言わない限り、事業者が自発的に導入提案することはまずありません。うまくやってください(オイ)。

eduroam JPのウェブサイトには、eduroamサービスを含む無線LANシステムを運用できる事業者の一覧があります。そのいずれかに相談すると、話が早いと思います。代わりにセキュア公衆無線LANローミング研究会に相談することもできます。

大学等のキャンパス無線LANシステムは、SI事業として構築されることが多いものです。上記事業者に加えて、SI事業者でもキャンパス外にeduroam基地局を打てる可能性はありますが、フリーWi-Fiの「運用」が絡むと実現できないかもしれません。

さて、ここで注意が一つあります。この記事の執筆時点で、フリーWi-FiやキャリアWi-Fiを展開している大手の通信事業者ではeduroamを導入しにくいということです。eduroamに限らないのですが、事業者が標準で用意しているSSIDと異なるものを使うのが難しいようです(わざとぼかした)。なので、最初からeduroamに対応できる業者に声をかけるのがお奨めです。

近所のeduroam参加機関に声をかけてみるのもよいかもしれません。欧州では、最寄りの大学が市街地eduroamを展開している例が散見されます。
(日本の大学はこの辺もうちょっと頑張ってほしいなぁと)

もしeduroam導入の話がうまく進みそうになってきたら、ついでにCityroamも薦めてみてはいかがでしょうか。次世代ホットスポットと国際ローミングに対応したCityroamなら、eduroamの利用者を含めて誰でも、安全なフリーWi-Fiが利用できるようになります。訪日旅行者にも好評になるはずですよ!