hgot07 Hotspot Blog

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IPoE接続とIPv4 over IPv6で自宅VDSL回線のIPv4接続を高速化してみたら10倍速くなった件

自宅のVDSL回線を、IPv4オンリーのPPPoE接続から、IPv6/IPoE接続とIPv4 over IPv6 (MAP-E)に変更してみたら、10倍ぐらい速くなったよという体験談です。プロバイダ変更無し、契約の追加費用無しで、ルータを買い替えただけ。これだけで完全に理解した人は、読む必要がありません。

[2020/4/27追記]
早朝など、時間帯によっては従来のPPPoE方式の方が速度が出ることもあります。大規模な集合住宅で、建物内で混雑している場合は、IPoEに切り替えても速度改善されないこともあるでしょう。必ずしも効果があるわけではないことにご注意ください。なお、PPTP方式のVPNは使えなくなります (セキュリティ的に問題があるのでPPTPは止めましょう)。

パケ詰まりは突然に

我が家のネット回線は、ADSLの頃からずっと某老舗プロバイダ(今は名前が違う)を使っていて、BIGLOBEやOCNの利用者がパケ詰まりで騒ぎ始めてからもしばらくは、可もなく不可もなくといった感じの品質を保っていました。2010年頃には、マンションのVDSL回線を使っていて、なぜか長期休暇や連休になったときだけ、たまに実用レベルを下回るといった具合。戸数の小さいマンションに引っ越してからは、特に酷いこともなく、平和に暮らしていました。

ところが、2019年春頃から、何か突然に劣化したような感じ……。20~24時頃は4Mbpsを切ることもざらで、時には1Mbpsを割り、sshすら使えない状態になってしまいました。海外とのテレカンが23時や24時に設定されることが多く、仕事にも支障が出てくる始末。

もしや、ファイル共有しまくりのヘビーユーザが入居してきた?

建物のVDSLがおかしい?

それとも、NTTかプロバイダで何かやらかした?

契約する会社は絞りたいけど、自分が他サービスで利用しているところで、プロバイダ業も手掛けているところは、軒並み評判が悪いのでした。それで、プロバイダを変更するのも二の足を踏む状況に。

仙台で利用可能なお奨めのプロバイダを尋ねてみたところ、プロバイダを変更するよりも、IPoEがいいぞというコメントをいただく。結果的にはそれが正解でした。

ぇー、IPv6なんですか~?

オペレーティングシステム(OS)にIPv6の機能が入り始めた頃、IPv4オンリーの環境なのに、IPv6がデフォルトで有効だとIPv4にフォールバックしない不具合が結構あって、散々泣かされました。そんなトラウマもあって()、どうせIPv6のサイトなど見ないので、IPv4が使えるならできるだけIPv6には触りたくないという気持ちを引きずっていた訳です。

プロバイダの説明を読みにいったら、これまた最近流行りのズルズルと長くスクロールさせるタイプのもので、とにかく読む気が失せるorz

ちょっと我慢して読んでみると「IPv6はいいぞ」「IPv6にすると速くなるぞ」みたいな、謎のうたい文句の先に、やっと少しまともな図が現れました。それでも、本当に知りたいのはそれじゃないんだ!と叫びたくなるような説明が多いのですが。

利用者の抱えている問題:インターネット接続が遅い

利用者が求めているもの:高速なIPv4接続 (IPv6はどうでもいい)

事業者の説明:IPv6接続がお奨め

利用者が抱いた疑問1:IPv4だけでいいのに、なんでここでIPv6を出してくるん?

事業者の補足説明1:PPPoEが詰まりがちなのでIPoEにしましょう

利用者が抱いた疑問2:いや、それでIPv4どこやったの?従来どおり使えるの?

事業者の補足説明2:IPv4 over IPv6を使えばおk

こんな感じ。IPv4を含むインターネット接続の機能は従来どおりで速度だけ改善できる」って、最初に明記して! 問題に最短で答えてほしい。

うち光じゃなくてVDSLなんですけど……

プロバイダの説明文だと、光回線について説明されているものの、VDSLはどうなのだろという疑問が湧くかもしれません。VDSLという専門用語が出てこなくて、単にマンションタイプと書かれていたりするので、少し知識があると余計に混乱するというやつですね。

まぁ、一般的な人()はVDSLかどうかなんて気にしないでしょうし、どのような接続形態なのかはサイトによって違うので、半端に技術解説するよりは、事業者に丸投げするのが正しいのでしょう。

自宅にはVH-100[4]E[N]という100M-VDSLアダプタ装置が使われていました。これは光回線終端装置(ONU)に該当するもので、単にアナログ-デジタル信号変換をしているだけです。変更する必要はなし。

IPoE対応のルータを選ぶ

IPoE, IPv4 over IPv6に対応したルータが必要です。2017/3から使っていたAterm PA-WG2600HPは当然のように非対応なので、これは買い替え。

Wi-Fi 6 (11ax)もガジェットとして()気になったものの、上流はどうせ50Mbps程度だろうし、速度を稼ぐのにチャネルボンディングを有効にしたところで周囲に迷惑をかけそうというわけで、がんばらないことにしました。経験的に、国内他社製品よりAtermを信頼しているので、PA-WG1900HP2をチョイス。

 

いざ、申し込み!

「v6プラス」って何だ?「IPv6接続オプション」て何?プロバイダ側かフレッツ側か、どっちなのよ?……とわけわかめになったのですが、とりあえずIPv6接続が先ということは分かったので、いざ、申し込み!

え、ナニコレ、無料でIPv6接続にできるの?(゚∀゚)
(うちのプロバイダはね)

とりあえず、申し込みの前に、ヨドバシにルータの在庫があるのを確認。明日買えばいいやと、先にプラン変更から進めることに。

プロバイダのサイトに「※お申し込みページにて、IPv6接続オプションと同時にフレッツ・v6オプションをお申し込みいただけます」「フレッツ・v6オプションの詳細につきましては、以下のページをご覧ください。」とあるので、そこからNTT東日本のサイトに飛んで、サクサクと申し込み、ものの一時間程度で開通の通知が来る。ちなみに深夜ですよ?

そして、これではダメだったことを、後日思い知ることにorz

そこは、可能の意の「お申し込みいただけます」ではなく、フレッツ側で直接手続きしないこと、及び、最初からプロバイダ側で手続きすることと書いておいて欲しかった。(寝ぼけながら作業してはいけない)

ルータ完売!

それで、翌日にヨドバシの在庫を再確認したら、前日に寡少だった表示が在庫なしに。なんというタイミングですかorz

仕方がないので通販でポチり。即日開通の夢が……

楽勝で開通!(のはず)

ブツが無事到着。

設定項目を一通り眺めてみたものの、あれ、IPv4 over IPv6もIPoEもキーワードが見当たらないぞ??

IPv6は開通しているはず(と思い込んでいた)。回線の自動判定がコケて、IPv6は未接続だし、PPPoEルータとして設定せよとのこと。そういえば、まだプロバイダへの接続設定をしていないけど、どこにも見当たらなくて、メニューの構造がびみょ。

とりあえず、自動判定を切って、IPv4だけで設定してみる。接続先設定が出てきた。これで従来どおりのインターネット接続は可能に。

動作モードに「v6プラス」とあるので、試しに選択してみるも、動かない。自動判定をONに戻してみてもダメ。しばらく悩んだ後、あぁ、プロバイダへの申し込みも要るのね_('、3」∠)_

要するに、プロバイダからIPv6接続の申し込みを行うことで、フレッツとVNEに連絡が行って、そこで始めてIPv6がリンクするという仕組み。

あぁ、やっとIPv6が有効になった。恐る恐るルータの動作モードをv6プラスに設定してみたら、あっさり来ました!(゚∀゚) 普段混雑している23時頃でも、45Mbps出ています。IPv4の出口はJPNEに変わっています。

ルータ以外の費用はタダで済んだし、もっと早く切り替えておくべきでした。プロバイダがIPoEに対応しているなら、試してみる価値は十分にあると思われます。

なんか、異様に疲れた。固定回線はもっと簡単、高品質にならないですかねぇ……

 

[2020/3/30追記]

速度低下箇所の切り分け

フレッツ回線の場合、以下のサイトを利用して、NTT東西とプロバイダのどちら側が詰まっているのか見当をつけることができます。「インターネット区間」の値と比べて、「NTT東日本・西日本フレッツ網内」の値があまり違わないなら、当エントリのような速度改善は望めないでしょう。

www.speed-visualizer.jp