hgot07 Hotspot Blog

主に無線LANや認証連携などの技術についてまとめるブログです。ネコは見る専。

新型コロナウイルス対策でいかに学生の移動・集合を減らしつつ学習・研究を進められるようにするか (ネットワーク活用編, ソーシャルディスタンシング前提)

[2020/4/7追記] 外出自粛が指示されている地域では、その指示に従い、無線LANを求めて出歩くことは避けましょう。

[2020/4/6追記] 政府要請により、携帯3社より追加データ(50GB程度)無償化の支援策(25歳以下対象, 4月ないし5月末まで)が出ているので、内容確認の上で活用しましょう。

 

f:id:hgot07:20200330182841p:plain(絵 пён)

新型コロナウイルス感染症対策として、普段なら「学校にきちんと通ってきなさい」と指導している学校も、今ばかりは「できるだけ学校に来ないように」と言わなければならず、教員にとってはなかなか歯痒い状況でしょう。遠隔授業を充実させようという動きが急に起こったわけですが、普段からギガ不足()にあえいでいる学生のネットワーク環境をどうすべきかという、頭の痛い問題が生じました。

本稿では、いかに学生の移動・集合を減らしつつ、学習・研究を進められるようにするかという観点で、利用できるネットワーク環境やサービスを紹介します。

学生に限らず、社会人でさえも、自宅に固定回線を引いている人は限られています。学生は、登校すればキャンパス無線LANが使えるでしょうが、登校を控えるようにと言われたら、遠隔授業に必要な大きな通信量を、どこのネットワークで確保すればよいのでしょうか?自分の学校に通えないとなれば、学習や研究に必要な文献調査も、満足にできないと思ってしまうかもしれません。

幸い最近では、図書館に行かなくても電子ジャーナルだけで済む分野も少なくないのですが、普段はキャンパスネットワーク・無線LANを利用していて、学外からの利用方法を知らない人も沢山いるのではないかと思います。使える環境やサービスを知ることで、ネットワークさえ確保できれば、学習・研究へのインパクトを抑えられる可能性があります。学校によって利用可否が分かれますが、使えるものは積極的に活用して、学習・研究に役立てましょう。

[2020/3/31追記]
カフェや他学に集まらせて何が対策だという厳しい意見も頂いておりますが、固定回線を引けない(経費の問題以外に、そもそもすぐ引けるようなものではない)、大学が通信費の手当をするわけでもない、そのくせ通学を控えてオンライン受講しろと言われて窮地に陥るような学生を少しでも救済することが、本稿の目的の一つです。

 

最寄りの学校や公園でeduroamを使う

基本は、ソーシャルディスタンシング (social(←古い表現) physical distancing) で!
絶対に集まらないこと。
(屋外の花見でも感染例あり)

自宅に固定回線がないなら、公衆無線LANを探して、やむを得ず外出することになると思います (外出自粛指示の地域ではダメ)。大学・研究機関等(最近は小中高も対応)のキャンパス無線LANとして世界標準のeduroamがありますが、所属機関がeduroamに参加しているなら、よその学校でも無線LANを利用できます。ここで、最寄りの学校のeduroamを使わせてもらうというのが重要です。「うちが混雑するんじゃない?」(大学)……いえいえ、お互いさま。

キャンパス内のカフェなど、なるべく混雑していない所を探しましょう。キャンパスに隣接する店舗でも、もしかしたら電波を拾えるかもしれません。学校ばかりではなく、市街地にも若干の基地局があります。

自分の学校に行くには電車を乗り継いで大変という場合でも、近所でノマドワークできるのであれば、他人と接する移動はずっと減らせますよね。

「カフェのフリーWi-Fiではだめなの?」……はい、もちろんそれでもよいのですが、いわゆる一般のフリーWi-Fiはセキュリティ的に問題が多いのです。詳しくは次項で。

eduroamでは、安全で自動接続可能な無線LAN環境が得られます。eduroamの基地局は、すべて、学校など正規の参加機関や、通信事業者によって設置されています。暗号化のないオープンなフリーWi-Fiと違って、通信内容が保護され、偽の基地局に誘導される危険性も回避できます。

www.eduroam.jp

「うちの学校にはeduroamがないよ」「学生にはアカウントないよ」……学校に強く要望しましょう!

 

最寄りの公園やカフェ、コワーキングスペース無線LANを使う

わざわざ電車を乗り継いで遠方に行ったのでは、感染症対策として本末転倒です。最寄りの公園や店を探しましょう。それも、あまり混雑していなくて、空気の良さそうなところを。

キャリアWi-Fiか契約型公衆無線LANサービスを使おう

多くのカフェやコワーキングスペースが無料で利用できる無線LANを提供していますが、できれば契約型の公衆無線LANか、キャリアWi-Fiのある店を選びましょう。これらの無線LANならば、偽基地局に誘導されて悪さされる危険性は低くなります。

特に、WPA2-Enterprise (1X認証とも呼ばれる)に対応した無線LANシステムがある場合は、それを使うのが安全です。大手キャリアのWi-Fiなら、SSIDが0001docomo、au_Wi-Fi2、0002softbankがこれに対応します。共通の鍵を使うWPA2-Personalや、暗号化なしのものは、盗聴や偽基地局で悪さされることがあるので、避けるべきです

大手キャリアのスマートフォン契約があれば、キャリアWi-Fiが付属しているでしょう。ノートPCからの接続は少し設定が面倒かもしれません。注意点として、複数の機器から同時に利用できないことがあります。もしノートPCで使いたければ、スマートフォンWi-Fiをオフにして、数分待つ必要があります。反対も同様。ノートPCを使い終わったら、スマートフォンWi-Fiをオンに戻すことを忘れずに。(忘れてLTEのまま使い続けると、せっかく温存した通信量が吹き飛んでしまう)

フリーWi-Fiの利用には要注意

多くの店舗で無償の無線LAN、いわゆるフリーWi-Fiが提供されていますが、そのほとんどが暗号化なしや、共通鍵を利用するものです。このような無線LANの利用には、相応のリスクがあります。

悪意を持った人が偽の基地局を置いていた場合、自分のスマートフォンやノートPCは、簡単にそちらに誘導、接続させられてしまいます。偽基地局では、通信内容の改ざんや盗聴、閲覧したサイトの分析、利用者端末への攻撃、偽装されたウェブサイトへの誘導など、様々な攻撃が可能です。

従って、このようなフリーWi-Fiは本来利用すべきではありません。本当にどうしても使わなければならない場合、もし所属機関がVPNサービスを提供しているならば、それを使うようにしましょう。(詳しくは所属機関に問い合わせ)

公衆無線LAN利用におけるセキュリティをうたったVPNサービスが多数ありますが、悪質なものが少なくないようです。いくらVPN経由でも、利用者の通信内容は暗号化なしでその会社の回線を通過します。すなわち、VPNサービスの提供会社が悪意を持てば、すべて盗聴できるということです。信頼できる会社のVPNサービスを選ぶ必要があります

 

学外から電子ジャーナルを閲覧する方法

[2020/3/31追記] 別記事として切り分けました。

hgot07.hatenablog.com

 

それでは、よい引きこもり学術ライフを!