[2022/11/15追記] この本には、続編 (らしきもの) があります。
このエントリは、前に以下のエントリで紹介したムック本「無線LAN技術 最強の指南書」(日経BP)の内容を大部分引継ぎながら、構築についての解説を加筆したものです。
- 書評:「無線LAN技術 最強の指南書」(日経BP) - hgot07 Hotspot Blog (2020/10/4)
「指南書」の方はKindle Unlimitedなら0円で読めますが(2021/5時点)、買うなら新しい「完全図解」の方がよいでしょう。
まず、大部分は指南書と同じなので、その部分についての書評は以前のエントリをご覧ください。
変わったところ
新しい方の目次は以下のとおりです。指南書と同じ部分に〇、追加部分に+を付けてあります。
【第1部 無線LANの基本を学ぶ】
〇第1章 イラストで学ぶ無線LANのき・ほ・ん
+第2章 令和時代の無線LAN
【第2部 無線LANの最新技術を知る】
〇第1章 無線LANの最新技術
〇第2章 Wi-Fi 6の実力
+第3章 Wi-Fi 6導入のポイント
【第3部 無線LANの周辺技術を学ぶ】
+第1章 徹底理解PoE
+第2章 IoTのつながる仕組み
【第4部 無線LANの疑問を解く】
〇第1章 試して分かった!無線LANの素朴な疑問
【第5部 無線LANの構築方法を学ぶ】
〇第1章 これなら使える無線LAN
+第2章 愛され無線LAN構築術
指南書から削られた部分は、以下のとおり。
【第3部 無線LANを構築する】
ー第1章 無線LAN構築 六つの鉄則
ー第2章 無線LANサイトサーベイ入門
ー第3章 こんな無線LANはイヤだ!
ー第4章 ネットワーク構築のツボ
レーダー波の影響を防ぐ無線LAN構築法
ー第5章 ネットワーク達人の知恵
無線LANの認証
この削られた第3部、実は、微妙な書き方が多かったところでした。鉄則という書き方をされると、もうそれらが絶対であるかのように見えてしまう罠があります。第3章では、誤りの方をデカデカとタイトルにしていたので、読んでいて気持ち悪かったものです。はっきり言って、この部分はもはや読まなくても大丈夫でしょう。
ミドルレイヤを主に扱っている私としては、無線LANの認証の話が削られたように見えて一瞬残念に思ったのですが、実は「令和時代の無線LAN」に似たような話題が含まれています。指南書の方の記述は、色々と古かったり怪しかったりするところもあったので、この部分がアップデートされたのは良かったです。
新しい話題
無線LANシステムの動向が(当時)最新のものにアップデートされています。その上で、構築に関する説明が充実しました。
「令和時代の無線LAN」の章では、比較的新しい技術が解説されています。安定、安全、そして使いやすいシステムを構築するという、問題解決指向で技術が紹介されています。ただ、ボリュームはないので、最初のとっかかりになる程度でしょう。それでも、用語が分かった時点で、詳しい情報にたどり着くのには大いに助けになるでしょう。
表紙にも記載のあるPoEやIoTの話は、いざシステムを構築しようとすると情報にたどり着くのに苦労するところでもあるので、関連技術として取り上げられたのはよいです。
「愛され無線LAN構築術」の部分は、一般化しにくい細かいネタが多いように思います。ただ、システム構築上は「ここが危険なのか」「あぁ、そうすればいいのか」などと、色々と参考になるでしょう。ただし、「MACアドレス認証」という、本来は認証とも言えないシロモノの記述は、残念でした。Web認証も、キャプティブポータルが抱える問題まで踏み込むか、せめて注意喚起ぐらいは欲しかったです。セキュリティ周りの記述については、こうすればよいというより、次善の策としてこういうのもあるよという、事例紹介と思って読んだ方がよいです。
終