hgot07 Hotspot Blog

主に無線LANや認証連携などの技術についてまとめるブログです。ネコは見る専。

学外のネットワークで電子ジャーナルを閲覧する方法

大学・研究所など、自分の所属する機関に電子ジャーナルのサイトライセンス契約があると、論文などを無償で読むことができます。多くの場合、所属機関内のネットワークでは、特にログイン操作などをしなくても電子ジャーナルにアクセスできます。当然ながら、所属機関外のネットワークでは、このような利用はできません。

自宅や出張先などで、電子ジャーナルにアクセスしたい機会は多々あるでしょう。一般的にどのようなアクセス手段があるのかを紹介します。

 

所属機関のVPNを使う

所属機関がVPNサービスを提供している場合は、それを利用することで、契約している電子ジャーナルを閲覧できるかもしれません。

電子ジャーナルの契約は、キャンパスネットワークと紐付けてアクセスが管理されていることが多いです。そのため、外部のネットワークからでは閲覧できなくとも、VPNでキャンパスネットワークに接続されていれば、電子ジャーナルにアクセスできることになります。

ただし、VPN経由でのアクセスが禁止されているジャーナルもあるので、所属機関に確認しましょう。

 

学認のフェデレーションログインを使う

古くは、キャンパスネットワークと紐付けて電子ジャーナルを契約する方法が一般的でしたが、この10年ほどで、認証連携(フェデレーション)を利用したアクセス方法が普及してきました。この仕組みを使うと、学外のネットワークを利用している場合でも、所属機関が契約している電子ジャーナルを閲覧できます。

日本の場合、通称「学認」と呼ばれる学術認証フェデレーションに大学・研究機関が参加していることが必要です。出版社との購読契約ももちろん必要です。

電子ジャーナルを閲覧しようとして、論文のダウンロードが有償表示になったりした場合は、近くに「Federation login」や「Institution login」「Log in via Shibboleth」といった項目がないかどうか探してみましょう。そこからログイン操作に進んで、所属機関から取得したアカウントでログインできれば、その論文は無償で閲覧できるかもしれません。

例えばSpringerの場合、こんなイメージです。(Shibbolethのカタカナ表記は「シボレス」です)

f:id:hgot07:20200331131456p:plain

 

IEEE Xploreの場合は、Institutional Sign Inから。

f:id:hgot07:20200417174029p:plain

この方法、意外と研究者にもあまり知られていないようですが、現代的な学術情報システムとして重要ですから、未導入の機関はぜひ学認への参加をお奨めします。eduroam参加と併せて。

www.gakunin.jp

 

他学のeduroamを使う

国内ではあまり例がないと思いますが、海外事例では、eduroamに接続したらそこの大学で契約している電子ジャーナルが閲覧できることがあります。

附属図書館が市民の利用も認めている場合がありますが、上記の場合、図書館の利用と同様に、walk-in userと見なして電子ジャーナルのアクセスが可能になっているものです。

このような手段で電子ジャーナルを閲覧する場合は、その機関における電子ジャーナル利用ルールを事前によく確認してください。

特に、多数の論文を短時間でダウンロードすることは、多くの電子ジャーナルで不正アクセスと見なされることに注意が必要です。所属機関でも同様の注意があるはずですが、訪問先機関での利用は特に注意すべきです。(eduroamでは利用者まできちんと追跡できるので、個人として不正利用の責任を問われることがあります)

 

電子ジャーナルには、一般に様々な利用条件が付いています。不正アクセスとみなされないように、自機関でも他機関でも、十分に注意して利用しましょう。